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安洋(アンヨウ):中国残留孤児三世の被告人、強制送還の瀬戸際

【被告人名】田中洋こと安洋ことアンヨウ
【日時】2010/12/09(木曜) 1000~(傍聴したのは14時20分〜)
【場所】東京地裁810号法廷
【罪名】殺人未遂

どうせ被告人質問は前日に終わっちまっただろう…今日は被害者関係、情状と論告弁論か…?
と、期間の短い裁判員裁判はなんとなく予想も立てられます
わたしは前回の公判を見て、被告人がどんなことを主張しているのか、それから、被告人の身上がとても気になってしまい、論告弁論でおそらく明らかになるだろう、とソレ狙いで裁判所へ赴きました

また昼下がりにふら〜っと法廷に入ると、被害者が再度登場し(遮蔽あり)意見陳述を行うところでありました

怪我の程度など先日の尋問と重なるところは省きますが、被害者は命を失いかけた事と、障害を考えたら、損害賠償金の一部として被告人の家族から支払われた300万ではとても足りず、2600万円を超える損害であり、また怪我が犯罪行為によるものと考えたら、それを大きく上回る、と被害者側の弁護人は言っていたとのことです

「被告人は自分に都合のいい事ばかり考えているとしか思えない。なぜ、素手の私にハサミで何度も刺したのか。なぜ、ひと月以上も、逃げ回っていたのか。卑怯でとても許す事はできない。
 肝心な部分を覚えてない、と被告人は言ってるが、被告人質問でも責任逃れの良い訳ばかり。とても反省してるとは思えない。厳罰を強く望んでいます」

被告人は被告人質問では肝心な部分を覚えていないと言っているようだ、ということが分かりました
確かに、そのような主張だと、反省も足りないのか、傍聴席で見ていても、なんだか他人事みたいで、殺人未遂の裁判の被告人には見えない気楽さがあります


15分の休廷をはさみ、論告が始まりました
これにより、争点は
・犯行態様
・殺意の有無
・正当防衛が成立するか
の3点である事が分かりました

一番目の犯行態様については、クラブの店員さんの証言から明らかになるとしており、
その方によれば
「被告人は右手にハサミを持ち、被害者に『ごめんね〜』と言って近づいた。
 私がハサミを取り上げると、被告人は再度、ハサミを購入し、また『悪いね』と言って被害者に近づき、ハサミを逆手に持ち、被害者の頬を刺した。
 直前に被害者が暴力を振るったのは見ていない。
 止めに入った被害者の仲間2人と被告人がもみくちゃになっていたが、被告人は反対車線側に避難していた被害者に近づき、再び刺した。
 勢いよくプシュっと血が出て、その後ペットボトルを逆さにしたように首から血が出てきた」

怖すぎます

何がコワイかって、おそらく原因はクラブでのちょっとした小競り合いですよね?
それでここまでのことをやる被告人が怖いのです(あっ、それを争ってるとは思いますが)


で、そちらの方の証言は詳細で具体的、臨場感がある、客観的状況にも符合するとして信用できると述べていました

また、この方の証言と真っ向から異なる証言も存在するらしく、それは被告人の友人であるNという男性の証言、そして被告人の証言だそうです
ちょっと分からなかったところがあったのですが、「コンビニ前で被害者が被告人に殴り掛かった」などと述べているそうでして、
でもこのNさんの証言は、被告人と親しい間柄であり、有利に話をする理由もあり、信用できないと主張、
被告人は「2回目にハサミを買ってコンビニを出ると、被害者に殴り倒された」と、クラブ店員の証言とこれまた真っ向から対立する証言をしているそうで、さらに「殴り倒された、連続して暴力を受けた。ハサミを持って接近したのは図面の4の地点でだけで、そこから移動はしていない」と述べたそうです
「ガードするように身を守っていた」というが、そのようなことで被害者にあれほどの傷ができるか?絶対にできない、と続けて主張していました

「ハサミで凶行に及び、左頬、生命の危険が高い左首を攻撃。若い被害者の左頸動脈離断。
 1回目にハサミを購入しているときは自らハサミを確認している映像もコンビニの防犯カメラに残っている。
 被告人は『コンタクトが外れて視界が悪くなっていた』と言うが、映像を見る限り、視界が悪く行動に支障起こすような様子はない。
 『アルコールと睡眠薬で意識がハッキリしていなかった』と述べているが、これも信用できない」

また正当防衛(差し迫った不正な侵害に対し、行動したのか)についても成立しないと主張、

「そもそも被害者と仲間の客観的な侵害行為はない。被告人は『十字路で暴行を受け、コンビニで、その仲間が自分に向かってくるように感じた』というが、差し迫った侵害ではない。
 もともと被告人が被害者の顔面を殴った。その後、自ら金属バットを持ち出した。自分が原因を作っている。
 そしてバット、ハサミを取り上げられても、コンビニに舞い戻り2本、ハサミを購入した。そして被害者だけを狙って積極的に攻撃を加えた。
 左頬を刺され、反対車線に避難した被害者を追いかけ、首を刺している。もはや差し迫った侵害とは言えない」

ここで被告人が(誰のか分かりませんが)車に向かって、その中からバットを取り出してまたどこかに向かっていく様子が記録された写真が示されました

検察官の話によれば、どういう原因かはイマイチわかりませんが被害者とその仲間、被告人とその仲間とでケンカみたいなことになり、被告人がバットを持ち出すも店員に取り上げられ、ハサミを持つも再び店員に取り上げられ、でも懲りずに再度コンビニに赴きハサミを(2つも)買って、ごめんね〜と言いながら被害者の頬をさし、反対車線に逃げた被害者を追い、首を刺したということのようです
でも被告人は「視界が悪かった」「顔をガードしていたらハサミが当たった」「被害者を追いかけてない」「むこうが殴り掛かってきた」などと言っているようです

確かに被告人の証言は、客観的な事実(血痕など)と合わないところがいくつかあります

論告は情状に続きます
「動機ははなはだ短絡的、些細な事が発端。反省の態度がなく、再犯の可能性が高い。都合のいい事柄を述べて、都合の悪い事は覚えてないと言っている。
(例えばハサミを買ったとき、コンビニ店員に『おつりをあげるから、言わないでね』と口止めしたことは覚えていないと述べているそうです)
 事実と向き合っておらず、反省していない」

そして注目はここです

「過去、服役前科もあり、少年時代の逮捕歴は2回。審判の経験もある。出所後5年以内に再犯を犯した。
 十字路で被告人が暴行を受けた事は認められるが、そもそも被告人がバットを持ち出した事が原因で、自業自得。
 弁護人は『過去被告人はいじめにあったことがあり、自己防衛の考え方が云々』と言うが、過去のいじめは単なるこじつけであり、自己防衛でもなく積極的に相手を痛めつけている。
『1年を超える判決を受けると強制送還される。考慮してほしい』とも述べていたが、刑事司法の場で判断する事ではない。
 国籍を取得できない事情や、中国で身寄りがないことなどは他のところで言うべき。かわいそうだから執行猶予をくださいというのは、刑事司法の場では……」

最後が聞き取れませんでしたが懲役10年が求刑されました

被告人はなんと過去、服役の前科もあるだけでなく少年審判を受けた事もあるようです

しかし、素手のケンカにバットとハサミを持ち出すのはどう考えてもやりすぎですし、これまで被告人がどんな人生を送ってきたのか非常に気になってしまいました

で、日本国籍がないと、懲役1年以上の刑に処せられると強制送還?
調べてみたところ
「出入国管理及び難民認定法」(退去強制)のあたりですかね
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S26/S26SE319.html

第二十四条  次の各号のいずれかに該当する外国人については、次章に規定する手続により、本邦からの退去を強制することができる。

のところにありました

被告人は服役前科がありながら、これを認識していなかったはずはないと思うので、なんかずいぶん、向こう見ずだなと感じます

書き過ぎの感があるので弁論は要約しますが「被告人は無罪です」から始まり、検察官とは反対のことを述べてました
殺意もなく正当防衛が成立するという主張です

そして注目の情状について
「本件はクラブで起こったケンカの事案。被害者の落ち度も相当大きいと思えます!
 異常な、クラブという遊興の場で起きた、抗争の一場面なのであります!!!」

クラブを異常な場であるとか、抗争とか、ちょっと鼻で笑いそうになりますが…

「前回(懲役刑の事件のことだと思われます)とは違います。おじの紹介で勤務先が確保できており、祖父や母も一丸となって支援すると約束しており、信用できる。
 また一部被害弁償をしていて、今後も続ける予定です。
 被告人は被害者に300万円支払っています。中国残留孤児の一家、大変な貧困なのです。貧者の一灯を出し合い、300万円を作ったのです。大変な辛いお金です。
 被告人はそれを弁償するとともに被害者への分割弁済金を支払うべきであります。日本に残し、働かせ続けるべきなのであります!」

と、大変なお金だという事は痛い程分かりましたが、被告人は逮捕時、26歳で無職って、どうやって生活していたのか、気になります
(初公判を見ていれば分かったのでしょうが…どなたかご存知の方いらしたら教えてほしいです)

「また実刑=強制送還です。被告人は中国残留孤児三世。書類を出せば日本国籍を取得できる立場にあるのです。
 書類を出せていないのは、届け出書類の中に、実父からの発行でないといけないものがあるが、実父が意地悪をして、書類をくれなかったのです。『自分を日本につれてこないと出さない』と言っているのです。
 実父の家庭内暴力に悩んでいた周りの家族はそれを拒絶しました。
 懲役1年以上の刑を受けると、強制送還になります。特別許可を得られたら残留できるが難しい。前回もそうだった。今回は難しい……」

などなどこんな感じで、弁論の情状部分でだいぶ被告人の身上が分かりました
前回の懲役刑のときは在留特別許可が認められたようです

しかし実父の「意地悪」って・・・実父は中国にいるようですし、家族には色々と複雑な事情があるようです
弁護士を通して書類発行をお願いする、ということもできなかったのかなぁ…

「結果的に、私、買ったハサミで大けが、ホントに後悔、後悔してもしきれないです。
 ……私も当日何が起きたか、本当の真実を知りたいです」

と被告人は最後にこんなかんじで、反省しつつも記憶がないと主張し、なんだか筋の通ってない、なんでも有利になりそうなら拾っとこう、という主張だよなと思います…

弁護側に近いブロックの傍聴席に、青いカバーのかけられた席が6つありました
被告人の家族、親族でしょうか

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