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殺人等:藤城康孝 加古川七人殺し意見陳述と論告(1)

【被告人名】藤城康孝
【日時】2009/02/26 1330~
【場所】神戸地方裁判所
【罪名】殺人、殺人未遂

前回、わざわざ新幹線で赴いた神戸地裁、なのに5分で終了し、ショックをうけたときのようすはこちら
http://tk84.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-0010.html

そして事件についてはここなどを…。
http://yabusaka.moo.jp/kakogawa7.htm


再びの神戸。この日は論告です。

こんな事件なのに傍聴人もまばらなので、ゆっくり法廷に入れます。
ここが東京だったら…と思うと身震いします。
絶対傍聴券だしプラチナチケットになるよ…


被告人はいつものように短く刈り上げた坊主頭に緑色のフリース、黒のジャージという出で立ちでした。
そして、なぜかマスクをしていました。
この裁判は2月でしたが、まさか昨今のパンデミックを予言していたのでしょうか…藤城さん恐るべしです。

裁判が始まりました。
論告に先立ち、ご遺族から書面での意見陳述が行われました。
検察官が読み上げます。
どういう立場の方の意見陳述かは、文面から察していただけるとありがたいです。

1人目の方です。
「わたしは事件後、3ヶ月入院し、2回手術をしました。
そして2年後、3回目の手術をして、ようやく社会復帰しています。
まだまだ体のハンデはありますが、落ち着いて来ました。夫の事、人生最後の瞬間を思い出す事があります。
そして夫の、生きていたいという思いと、恐怖と、腹立ちを思います。
特に、こんなことをされる理由もないし、もめる理由もありませんでした。
残された私の子供達は、人の目を気にせず生きていけるようになってほしいです。
殺人を犯して正しいわけはありません。法律で裁かれるのは当然です。8人が犠牲になって、許されるわけはありません。
1日も早く極刑になることを望みます」

2人目の方です。
「事件から4年6ヶ月が過ぎ、2回の精神鑑定が行われましたが、いまだに、なぜ、父が殺され、母が重傷を負わされたのか分かりません。
平成16年まで、普通の家庭だったのに、あの日以降生活が一変しました。
被告人と近隣住民がもめていたことは、全く知りませんでした。最悪な事態になっていたことを、裁判記録で知りました。
8月2日の3時、電話で目が覚めました。
父の話し声から、電話の相手は祖母だと分かりました。父は様子を見に行き、110番通報するというので、私も行きました。
祖母の家の玄関には血が散乱していました。
父の、階段を上がる背中に『警察が来るまでそこにいろ』と言えなかった事が悔やまれます。
このとき、パトカー2台が通り過ぎました。
私は祖母の血を拭くためにタオルを取りに戻る時、母とすれ違いました。
母のすごい悲鳴が聞こえました。
私は自宅にもどって鍵をかけましたが、外からは母の悲鳴と、父の、うぉ〜という叫びが聞こえました。
外に出ると道路には祖母の黒い血が水たまりのようになっていて、母は血まみれで担架に乗せられました。
警察に父のことを尋ねましたが、返事はありませんでした。
葬儀の時に父の顔を見ましたが、顔がむくんで赤黒く変色していました。
病院で意識を取り戻した母の一声は『お父さんは?』でしたが、違う病院にいる、ととっさに嘘をつきました。

被告人は反省していません。あのとき、近隣住民が被告人を挑発しなければ、そして、通り過ぎた2台のパトカーが止まってくれたらと、悔やまれてなりません」


2台のパトカーが犯行時に現場を通り過ぎていた事が分かりました。
なんということでしょう…
現場の前の道は、細くて、事件現場は通りに面しているので、何か異様な様子であればすぐに気づくと思うのですが…兵庫県の警察はなにをしているのでしょうか。

いらだちも沸きますが、論告です。

検察官が続けます。

(はしょらずに書こうか悩みつつ、とりあえずできるだけ書いてみます。が、この日消費したノートは7ページ・・・)

「事実関係は証明十分でありますが、弁護人は被告人が妄想性障害により、心神喪失もしくは心神耗弱であると主張しています。
しかし、公訴事実の動機は了解可能で、前後の行動は合理的、そして被告人自身、違法行為と認識していました。これは、被告人に障害や妄想はなく、完全責任能力を有する事の証明であります」

「まず、動機は了解可能です。
長年に渡り、とし子ら親族、隣人一家から、定職を有さず、権利があやふやなまま居住していることについて、被告人と母親が虐げられていたと憤懣を募らせていた被告人は、隣人との些細な口論で、憤懣が爆発して起こした事件であり、『汚い自宅を犯罪者の自宅として報道されたくない』という気持ちで更地にしようと放火した事案であります」


次に被告人の性格についてですが、
両親や弟の供述によれば『自分に自身はないが、プライドは高く細かい事を気にして、バカにされたと感じると激高し、手近なものを投げたり怒鳴りつけたり暴力をふるう』とのことで、さらに中学校時代の担任2名は『他人とのコミュニケーションが下手。気に入らない事があると文句や反論を言う事が出来ずいきなり暴力をふるう。しかし、相手は誰彼構わずという訳ではない。被告人をバカにしたりする相手に限定されていた』と述べており『黙って近づき、いきなり暴力をふるったり、ナイフを持つときもあった』とのことです。
被告人自身も、飼い犬の糞の問題を挙げ「周囲が自分をそれなりに尊重してくれているかが一番大事。どう解決してくれるかは二の次」と語っています。

甲号証には、被害に遭わなかった一族の方の調書があるようですが、それを読み上げました。
「とし子さん一家は皆殺しにされたが、私たちはなにもされなかった。それは暴行に逆らったかどうかの違いのような気がします。
私ら夫婦も、とし子さん夫婦も嫌われていたが、とし子さんは言い返したり、長男がパトカーを呼んだりと抵抗していました。しかし、私達は言い返せず、ひたすら謝ったり、逃げたりしていました。ですから、とし子さん一家に対して、私ら以上に悪い感情を持っていたかもしれません」

(↑この部分、とし子さんなのか、利彦さんなのかちょっと判然としない箇所です。すみません)

鑑定人の山上さんによれば
「被告人は劣等感が強い一方、自尊感情が強く、ストレス耐性も低い。他者に対し懐疑的で、愛情の欲求が強い。
情報を取り入れる事が苦手で、誤解しやすく、独断的、被害的で、疑念を抱きやすい。また、頑固で融通がきかない。感情が不安定で激高しやすい。感情的なストレスを高めやすい。
社会の価値観が内包化されておらず、他者に対し、暴力的。
対人から引きこもったり、反撃の妄想に耽る。
抑圧や回避に対する防衛ができず、容易に破綻する性向を内包していた。
他者を見下し、バカにされる事に敏感。それに対して暴力で対抗する。殺意を抱くのは十分了解可能」
と、被告人に対して散々な結論を出しています。

(つづく)

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