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殺人等:伊藤玲雄、阿多真也、鷺谷輝行 架空請求詐欺殺人控訴審・伊藤の被告人質問(1/2)

今日はドラえもん、楳図かずお先生、そして自分の誕生日ですが、傍聴記をアップして、朝からまた遠方の裁判所へ…帰って来る頃に誕生日は終わりを向かえ、夜中に原稿を書く…最高に普通の一日になりそうです。
祝う歳でもなければ一緒に祝う人もいない…そんな自分にお似合いの一日です!

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【被告人名】伊藤玲雄、阿多真也、鷺谷輝行
【日時】2008/07/15 1330~
【場所】東京高裁 102号法廷
【罪名】阿多:傷害致死、殺人(認定罪名 傷害致死、殺人)、死体遺棄、監禁、詐欺(訴因変更後の罪名 暴力行為等処罰に関する法律違反)、暴力行為等処罰に関する法律違反
鷺谷:傷害致死、殺人(認定罪名 傷害致死、殺人)、死体遺棄、逮捕監禁致傷、逮捕監禁、監禁
伊藤:傷害致死、殺人(認定罪名 傷害致死、殺人)、死体遺棄、逮捕監禁致傷、逮捕監禁、監禁

千葉の架空請求詐欺殺人事件、実行犯の控訴審です。
過去の記録はカテゴリ「仲間割れ」からどうぞ〜
http://tk84.cocolog-nifty.com/blog/cat20516674/index.html

この日の公判、控訴審なのに本当に長かったんですが(そのせいで傍聴記アップに腰が引けていました)、最近、長々と書くのを控えてみたいと思いつつ、どうなるか…がんばってみます。

伊藤はスーツに黒の靴下、鷺谷は白いシャツに黒いズボン、阿多はグレーのスーツでした。
全員、控訴審からフォーマルな装いを貫き通しています。
伊藤の被告人質問が始まりました。
池内楯雄など、やっかいな事件でおなじみの大熊弁護人が立ち上がります。
(こちらの弁護人、例の「凶悪」っていう本に名前が出て来てました。関係者の裁判の弁護人をやっていたようです)

まず被害者に対する謝罪の気持ち、それから清水大志(一審で主犯と認定された被告人です)との出会い(これも一審の判決pdfや傍聴記を参照ください)、それぞれのメンバーとの関係の変化などが語られました。

渡辺純一は当初、伊藤のヤミ金事務所で下の立場でしたが、不満を言って辞めていき、新しい事務所を清水の元で作りました。
それからの純一についての印象を聞かれ
「あまりかかわり合いたくないというのが正直な気持ち…それまで見ていた渡辺さんは、さしたる理由もないのに暴力を振るったり、覚せい剤をやったりしていたので…」
と答えていました。
ここから、純一がいかに暴力的で粗暴な人間だったかということが語られますが、こちらも一審で散々みんなが語っていることなので、若干割愛します。

また、阿多との関係については、伊藤が指示できるような立場ではなく、清水のグループの側近の人というイメージだったとのことです。


そして事件のことになりました。
被害者らが、マフィアを使って清水や伊藤などを殺そうとしている、という話を初めてアブリヤ(どうやら居酒屋だと思われます)で聞き、それを止めて話を聞き出す目的で逮捕監禁を行ったと述べていました。
監禁後に暴行を加えたかどうかについては
「激しいって程度にもよりますが、自分は他の人に比べるとそんなに…」
とのことでした。

この監禁の時点では被害者らを殺すという目的はなく、
「多少強引でも、連れて来て、それで、どういう計画なんだと、漠然と、その程度しか考えてなかったです。その中で、暴力も辞さないという認識をしていました」
という、殺害計画を阻止するための監禁である事を強調していました。

ところが、ここで純一が被害者の1人に熱湯をかけます。
(純一はこのように、グループの今後の動きを決めてしまうような行動を取っていることが多いです)

「『ギャー』という叫び声と、バシャってかかる音が聞こえました。声があまりにも大きく、振り向くと、渡辺さんがポットを持って、Iさんの体から湯気が出ていました。こ、怖かったです…人間にお湯をかけるという考え方…生まれてこのかた、なかったので、ショックを通り越して、気が狂ったんじゃないかと。大変怖かったです」

そして、この拉致監禁における純一の行動を見て、
「事件前に見ていた凶暴なイメージがさらに強くなって、到底、敵に回したらおっかないと思いました」
と思ったとの事でした。

被害者のIさんとNさんは、この時点で、殺害計画のターゲットは8人だと言っていて、Yさんも最終的にはそれを認めたとのことでした。
う〜んどうやら本当に殺害計画はあったと考えるのが妥当なのでしょうか。

その後は、監禁した4人をどうするかという謀議を京王プラザホテルで行います。
このとき、4人の殺人計画は頓挫したという報告を受けたようです。


ところで、この殺害計画を当人たちにアブリヤで知らせたのは被害者のYGさんなのですが、彼まで被害者になってしまう瞬間というのがありました。

「YGさんが『自分も、マフィアの計画の情報を流していた』と言い出して、Nさんも認めました。すると、純一が『こいつも仲間だから、手錠かなにかで監禁しろ』と…」

YGさんの発言、ちょっと意味が分からないんですが(誰に情報を流していたのでしょう)、とにかくこの発言がきっかけで純一を発動させ、監禁されてしまったようです。

「YGさんまで監禁…ちょっとやりすぎじゃないかと…渡辺さんのターゲットになってしまったら、助けてくれたのに監禁されてしまう…ターゲットになったら、逃げられないという恐怖を感じました」

弁護人の路線が、純一がこの事件の一番の立役者(悪い意味での)という方針なのだろうと思いますが、このような純一の粗暴な振る舞いは一審から分かりきっていることでもあります。
再び同じように主張して果たして、伊藤を死刑、純一を無期懲役とした一審判決を、変えることができるのでしょうか。


話を京王プラザホテルの謀議のところに戻しますが、このとき伊藤の認識としては
「被害者さま(←亡くなった4人の被害者については、このような呼び方をしていました)を監禁している状態…どうやって解放するかという話をしに集まったと思います。今後の相談で、殺すという話になるとは全く思っていませんでした」
とのことです。

議長はなんとなく清水というかんじで、どうやって解放するかという話し合いはすすみます。
しかし、シャブ漬けにして記憶をなくす、マグロ漁船に乗せるなどの非現実的な案がことごとく却下され、なんとなく行き詰まった雰囲気っぽくなり、その過程で阿多が
「殺すしかないでしょ」という趣旨のことを発言します。
それに対して純一が「殺すなら殺すでいいけど、死体処理も考えなきゃだから、処理どうすんの」と聞き、阿多が知り合いのヤクザにあたってみるという話に落ち着きました。
(と伊藤は言っています。細かいところは各被告人で話がちがうかもしれません)

自分がこの事件で一番不思議なのは、この話し合い最後における多数決です。
みんな、この話に関して受け身だったはずなのに、ここで清水がこの案に賛成でいいか確認したところ、みんな依存はないということで、賛成に挙手をしています。

伊藤はその理由について(殺すつもりはなかったはずなのに挙手をしたことについて)
「何を言っても言い訳になりますが、被害者さまをかばうようなことを言ったら、渡辺さんがその場にいるので、怪しまれて、暴力を受けるんじゃないかと、賛成に手を挙げてしまいました…」
と語っていました。


後の流れも大体一審と同じ供述です。
(おさらい的な感じでかきます…)
ヤクザとの交渉中に被害者の1人、Iさんが死亡してしまい、交渉は暗唱にのりあげはじめました。純一に強く言われて、ヤクザとの交渉をなぜか伊藤が引き継ぎますが、そのときにタケハルという、このグループの一員が逮捕されたという話が届き、一同は大いに焦ります。
そしてそのとき、純一から、自分たちでなんとかするようにという趣旨の態度を取られたとのことでした。
このとき「自分たちでなんとかするようにという趣旨の態度を取ら」れたというのは伊藤が勝手に思ってしまっただけじゃないのか、というニュアンスの一審判決なのですが、それについては

「それは間違っています、殺害以外に解釈しようがないです」
と強く否定していました。

伊藤が言うには、監禁現場から立ち去る純一と清水に追いすがったときに、純一から
「ふざけるな、オレはヤクザなんだ、お前がやればいいんだ」
というようなことを言われたとのことです。

その後もなんとか伊藤はヤクザに残りの被害者を生きたまま引き渡したいと、あれこれ奔走しますが、そんなときに、Yさんが死亡してしまいました。
こちらの被害者については傷害致死という認定がなされているのですが、検察が控訴している理由の1つは、これが殺人罪にあたり、未必の殺意があっただろうという主張からのようです。

果たしてYさんに対しては傷害致死が成立するのか、それとも殺人なのか…


亡くなる時の状況についての弁護人とのやりとりはこんなかんじでした。(結構重要)

「亡くなる前、阿多がYさんの頭を叩いた事は?」
「ありませんでした」←阿多と主張が違いながらも、阿多に不利になることをことさら言わないところに、伊藤の供述は信用に足りるのでは…?と思わされます
「覚せい剤を射って、頭を叩いて、記憶をなくすために?」
「覚せい剤で記憶がなくならないっていうのは京王プラザホテルの話し合いで出てるので、やるはずはないし、実際やってなかったです」
「Yさん死亡直前のときのことは覚えてます?」
「よく覚えてないのですが、気付いたら亡くなっていて、ビックリしてすぐH(交渉中のヤクザ)に電話しました。容態が目に見えて、直前に変わったとかはありませんでした」

気付いたら亡くなっていたとのことです。

結局この件で、ヤクザとの交渉は決裂します。
そのあと清水に電話をすると、
「あとはそっちでやって下さい」
と言われ、伊藤、阿多、鷺谷に対して、暗に殺害を指示してきたそうです。これは一審でも変わらず供述しています。

しかし一審では「清水が殺害について直接具体的な指示をしなかった」と認定されています。
伊藤の供述はあまり信用されていなかったのでしょうか…?
自分としてはかなり信用できる被告人だと思いますが…

その一審認定について
「判決が間違っています。経緯を考えると、それ以外の理解はできないです」
と強く否定していました。


結局、なんか長くなっちゃいました…
しかも、まだまだあるので一旦切ります。。。

この事件に詳しくなければ、何がなんだか分からない傍聴記なのでは、と心配です。
また、詳しければ詳しかったで、おさらい的な内容なので、それもまた若干申し訳ないです。
さらに、早く寝ようと若干焦っているので、もしかして記述に間違いがあるかもしれません。その場合はご指摘いただければ幸いです。
(つづく)

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