殺人:岡本千鶴子 相変わらず無罪を主張した控訴審第一回公判
【日時】2008/05/08 1330〜
【場所】東京高裁 102号法廷
【罪名】殺人
平塚五遺体事件、控訴審です。
平塚のレオパレスから乳幼児含む5名の遺体が発見され、そのうち被告人の娘である利加香さん殺害についてだけ起訴、一審では懲役17年が求刑され懲役12年の判決を受けています。
(横浜地裁での一審の様子は左の検索窓からお探しください)
弁護人からの質問にはペラペラと答えたものの、検察官からの質問には態度を一変させ「何も言いたくない」と答え、裁判所からの質問には
「これから先、公判が続いても、私は何も言いません。どんな刑を下されても話すことはありません。すみません」
と、言っていたのに!
なんと、控訴しておりました。
どんな刑を下されても話すことはない、それなのに控訴…?
話したくないけど刑には納得できないということのようです。
控訴したら話すのか…!?どうなんですか!
霞ヶ関は最近傍聴人がとっても多く、この日も傍聴券は抽選だったので、ドキドキしながら交付所に並びました。
傍聴希望者はどんどん交付所に集まってきました。
でもなんと、定員割れで傍聴券の抽選は行われず、希望者全員に傍聴券が配布されました。
あ〜よかった…生きた心地がしないよ〜
時間ギリギリまで法廷前に並ばされ、中に入ると、被告人は以前と変わらぬ様子で長椅子に座っていました。
髪の毛は肩にかかるくらいのびています。
服装は、上がなにやら謎の模様の入ったブラウスみたいなもの、下が黒いズボン、相変わらずアート系っぽい雰囲気です。
弁護人は見覚えがあるので一審のときと同じなのかもしれませんが、自信がありません。
珍しく、弁護側にプロジェクターが設置され、プレゼン風に控訴趣意を述べ始めました。
わりかし長かったんですが、要約すると
・一審判決には事実誤認がある
被告人が犯人であることについて、疑いを超える証明がされていない
殺害の犯人は(死亡していた義理の息子である)峰宏さんか被告人であることは明らかであるが、峰宏さんが犯人である疑いは払拭されていない
↑亡くなってからも犯人である疑いをかけられるなんて…これこそ死人に口無しです
そして峰宏さんが犯人である疑いとして
1:峰宏さんの自殺の状況
2:遺書の内容
3:自殺までの経緯
4:動機が想定できる
5:遺体の損傷状況
6:突発的な犯行の可能性
の6つを挙げ、それぞれについて説明をしていきました。
・1について
峰宏さんは利加香さんの遺体の横で首つり自殺をしていた
「裁判官、まるでこれは心中のような状況ではないでしょうか?」
と弁護人は語りかけていましたが、そんなはっきりしないこと言っていいの?ってビックリしました。
・2について
峰宏さんはパソコンとメモ帳に2通の遺書を残しているが
「自分の意志で死にます。最後のお願いです。利加香と一緒にさせてください」
など、被害者と一緒にいることにこだわっており、峰宏さんが犯人であることを疑わせる(そうかなあ〜)
・3について
一審判決では「峰宏さんは被告人と2人で自殺する約束をしていた。自殺はその結果」とされているが、峰宏さんは被告人が自殺したと信じて自殺したのではない
また、殺害に関与してなければ自殺の可能性はない
・4について
原判決では「峰宏さんに動機があったとは認められない」とされたが、そうではない
・5について
利加香さんの遺体には皮下出血、線条骨折、何らかの鈍体による打撲が認められ、原判決では「打撲や骨折が生前のものかは断定できない」としたが、利加香さんの遺体解剖執刀医は「生活反応として皮下出血、骨膜出血が認められる」と述べている
被告人が犯人だと仮定すると、利加香さんの覚醒時に殺害するのは、一撃では困難
寝ている時であれば、打撃の必要はない
またさらに原判決では「就寝中の利加香さんを被告人が襲い、もがいた利加香さんが床に顔面をぶつけた」とあるが、顔面が折れるほどもがくだろうか
・6について
事件当日、利加香さんの携帯は止められ、契約者である峰宏さんが料金を払いに行った
利加香さんは携帯を彼氏との連絡用にもっぱら利用しており、そのようなことを考えて心の中は嫉妬心で限界に達していたのではないか?
さらに事件後の被告人の行動などについて述べ始めた時、被告人が泣いていることに気付きました。
たまに手の甲で涙をぬぐっています。
どうしたのでしょうか。
また、公判での被告人の態度の悪さ(証言拒否など)については、被告人の話に耳を傾けず犯人と決めつけた質問をしていたためで、このような質問に黙秘は当然だと述べていました。
長々と述べていましたが結論としては「原判決の判断は強引かつずさん」だとして、原審と同じく無罪を主張しました。
対する検察官は理由なく棄却されるべきと主張していましたが、いちおう証拠調べがなされることになり、審理は数回つづくようです。
この先、被告人が検察側の質問に答えることはあるのでしょうか…
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